川治温泉への道 古峰ヶ原から粕尾峠

栃木県の日光の南に古峯神社があります。
その一帯は古峰ヶ原という広大な高原となっており、修験者の修行の地であります。日光を開山した上人もここで修行をした後に日光に入ったようです。そんな霊言あらたかな場所なのであります。
話は変わって、私にとって、古峯神社そして古峰ケ原の思い出と言えば、一つは座禅、一つはパイナップルであります。
座禅は、中学校時代、中3の秋だったか、学校の一泊旅行か何かで古峯神社に行って座禅を組むという体験をしました。受験前の精神統一という奴なんでしょうけど、なんだかとてつもなく足が痺れたな〜。どこに泊まったかというより古峯神社の天狗のお面が印象的でそればかり覚えてました。付属中学だったから進学というのはそこまでナーバスな話ではありません。だからこそ学校側としてはちょっと気合を入れて絞るという意味があったのかもしれません。
もう一つのパイナップルですが、大学サイクリング時代に、天狗の記憶から秋の峠路として古峰ヶ原へのサイクリングを実施しました。新鹿沼駅をスタートして、古峯神社を経て、古峰ヶ原。そして、林道だか山道だったかをドカドカ下って足尾の街へと辿りました。クラブの後輩のS君を誘って2人で行きました。そんなに早く無い時間に新鹿沼をスタートした上、途中のスーパーで色々と買い出しをしてぐずぐずしてたから時間がどんどん押す押す(笑) 峠で火を焚いて炊飯する事が流行っていた頃だったから何だか色々と仕込んだ覚えがあるけど、峠で何を食べたかはすっかり覚えていません。が、その中でも最後に丸ごとのパイナップルを買って、君は若いんだからこれも持ちたまえとS君に渡した事だけは良く覚えています。同じようなザックを背負っての峠行、今考えてみると酷い事をしたものです。当時の先輩後輩という関係性は今の時代にはそぐわないものですね。あ〜、先輩で良かった(笑) そして、えっちらおっちら上った峠道。ピークの古峰ヶ原についた頃は、すでに夕方の空気が周りに蔓延してました。その薄暗い空気の中で食べたパイナップル。やたら美味しかった記憶があります。
川治温泉で、大学サイクリングの先輩方への長年のお勤めご苦労様会が開かれました。
私んとこの大学は、数多くの学部がある関係で、サイクリングクラブも学部毎、キャンパス毎に存在してました。他学部と活動する機会はあまり多くはありませんでしたが、クラブは違えど同じサイクリングをする仲間であれば、先輩は先輩、後輩は後輩。今回も他学部の先輩への慰労会に参加させていただいたのであります。そして、宿泊地は決まっているけど、行き来については各自勝手にというだったので、今回は電力自転車を登場させる事にしました。ちょっと前から、どんな感じで上れるか輪行はどうするかという確認や練習をしていたのは此のせいです。しかし、残念ながら当日も翌日も天候の予報はあまり芳しいものではありませんでした。練習したのにちょっと勿体ないなと思いつつ、雨降ったんじゃ泥除けをストリップした電力自転車ではちょっとなんだよなと意気消沈していたのに、直前になって天気予報がちょっと好転したのを良い事に簡単に決行することにしたのであります。そして行くんだったら、昔たどったパイナップルの思い出を噛み締めようというのはいつもながらのストーリーです。
予報は若干良い方向だったけど、当然ながら山の天気は変わりやすく、結果的に最後は雨の中を走る事になりました。ストリップの呪いも久しぶりに味わい、靴もベシャベシャ、パンツもベシャベシャ。まあ冷静に考えればなるべくしてなったか(笑)しかし、それ以上に過去の記憶を反芻することが出来た1日でありました。
(2024年6月1日 走行)
走ったコースはこんな感じ。
こっちの方が見やすいか。
東武鉄道 新鹿沼駅→ 古峰神社→古峰ヶ原→粕尾峠→わたらせ渓谷鐵道 足尾駅→ 間藤駅→ 細尾トンネル→ JR 日光駅→ 今市→川治温泉
新鹿沼の駅はこんなストロベリーな感じになっていました。
昔はもっと寂れた感じがしてたのに、甘酸っぱ〜い!

甘酸っぱい感情を満喫していたら、駅前で自転車を組み立てているベテランサイクリストに気づきました。勇気を出して声をかけてみたら、彼のベテランは「ランドナーの会」のツーリングに参加されるとの事でした。

ランドナーとは対極にいる電力自転車の私は、邪魔にならないように一人静かに駅前から旅立ちました。
しばらく鹿沼の街中を走って、古峯神社の参道に入りました。
空は青空、絶好のサイクリング日和です。

緩やかな上り基調のアップダウンで進行しますが、適度に休憩をとらないと知らないうちに疲労がたまります。日陰で休憩して朝飯がわりのサンドイッチを食べて一息入れて立ち上がると「不審者に注意」の看板に気づきました。道理で、脇を通る人が訝しい目をしていた訳だ(笑)

第1の鳥居が見えてきました。
ここまでの勾配は大した事はありません。

グリグリ上ってくると、スカイツリーレベルまで到達しました。
という事は、子の権現と一緒だね。

そして、さらに進むと古峰神社に到着。


ビンビンだぜ!

しかし、古峰ヶ原への上りを見たら、急にシュンとなっちゃいました。

神社は比較的高いところにあったと記憶してましたが、門前の茶屋のおじさんによると、ここはまだ半分だって。
こんな感じの九十九折りをギュンギュン上っていきます。しかし、長いな〜。

そして、古峯原峠に到着。
今回は早い時間帯なのに、高原は曇ってます。

峠のあずま屋で腰をおろしましたが、パイナップルの時は真ん中に机があったはず。
S君自慢のビクトリノックスで切り分けてくれたな〜。

今回はパイナップルは持ってこなかったので、ちょっと手持ち無沙汰。
さっさと足尾に降りて昼飯を食べましょ〜。
古峯原峠から粕尾峠までは、下り基調でほとんど尾根道を行く・・・・つもりだったけど、それが何だよ!最初にドカンと下ったらそれ以上に上らされたじゃん。あのピークに名前はあったのかどうかはわからないけど、ちょっと下って1099mくらいのところで、やっと粕尾峠に到着。


足尾までは流石に下り一本。
わたらせ渓谷鐵道の足尾駅。
S君と来た時は駅なんかに寄ってる暇はなかったな。暗くなってから足尾に降りて来て、それから泊めてくれる旅館を探したっけ(笑)

ところで、わたらせ渓谷鉄道といえば、2013年に4Catsさんとa-waterさんの3人でツーリングに出かけた時に付かず離れず走ったことがあります。その時は沢入(そうり)駅から山の中に入っちゃたけど(笑)
足尾駅では、機関車が行ったり来たりしてました。練習ですかね?
わたらせ渓谷鐵道のHPをみると、これはDE10-1678号のようです。

駅前には、足尾銅山で使われていたろう機関車が置いてありました。
今は無くなってしまった、北京都の加悦SL広場で見た古い車両のメカメカしい姿に萌え萌えだった事を思い出しました。
維持するのは大変だろうけど、勿体ないな〜。

足尾銅山は、この財閥系の鉱山だったと改めて知る。

ここにも渡良瀬橋がありました。この橋の下の流れがあそこに繋がってるのね。

終着駅好きとしては、機会があったら是非行きたかった間藤にやってきました。
足利駅を出て渡良瀬橋あたりでウロウロしていたら、ちょうど列車がやってきたのです。ラッキー!

上からビュー。

全体ビュー。
駅前? にはちょっとした展望台があるのです。

いや〜、堪能したな〜。
・・・って腹減ったからそろそろ出発と考えていたらポツポツと。
間藤から国道122号に戻った頃には大雨がザーザー。
仕方ないので、ポンチョを出しててるてる坊主モードで走り出しました。間藤から合流した国道122のちょっと先には、定食屋があると足尾駅の食堂案内にも書いてあったし、そして14時30分まで営業と書いてあったからまだ大丈夫。昼飯食べてる間に雨止むといいなぁ・・・。で、そのお店には、13時30分ちょっと過ぎに辿り着いたのに、「本日終了」の看板が。道理で軒先きでカッパを脱いで自転車を立てかけてた時に窓際のお客さんが怪訝な表情していたんだよな。がーん。
一旦脱いだカッパを改めて被って、雨の中走り出す切なさよ。でもお終いって言ってるから仕方なしorz。
そこから、10分ほど進んだ先で、見つけたのが「中国料理 英山」さん。あ〜、助かった(泣)


オススメのスーラータンメンを頂きました。美味しいよ。
ランチを食べたのでちょっと力が出てきました。さて、日光に向かって進みましょう。
細尾峠の旧道はちょっと興味あったけど、時間も時間だから今回はトンネルで。

トンネルに入ったら終始下りだったのでスイスイだったけど、トンネル抜けた一直線のダウンヒルは、路面の水たまりを跳ね上げて靴はおろかパンツまでジャバジャバ。しかし、猛烈なダウンヒルは止められないし、随分下って、初めての信号のところで立ち止まったら、ハンドルについてたガーミンの表示には、「衝撃感知緊急事態連絡したいけど連絡先が登録されてないからエラーが発生」となってました。ガタガタが激しかったからかガーミンが衝撃を受けた(転倒した?)と認識した模様。すげースピード出てたと思うけど、濡れた路面はともかく、油圧ディスクブレーキの威力は抜群でぜーんぜん怖くなかった。タッチも効きも変わらずでした。
神橋まで下ってきました。東照宮参拝もちょっと考えたけど、パンツ濡れてるし、ね〜。

さっ、次の思い出は日光駅!
大学3年の夏の旅で寄ったんだから、その時は国鉄の日光駅であります。修学旅行用の待合場所が広く取られていたので、そこの片隅で野宿しました。


駅から出てきた人に、1箇所だけ、龍がいるよと聞いて見上げてみる。ん、まあ確かに。

周りや形は変わっていたけど、この辺りに自転車停めた・・・はず。

あの時は、長旅もけっこう寸詰まっていて、何だか2日くらいここでぐずぐずしていたような(笑)
今回は寸詰まっていられない。
もう4時も近いし、何しろLINEの通知ではメンバーは既に温泉入ってビールを飲んでるんだと。
でも、杉並木を抜けたら振り返って写真を撮ってみるのです。

今市で北にターン。大谷川を渡ります。
此の流れは、あの東照宮の前の神橋の下を流れていたものですな。

鬼怒川線にはSLが運行されてます。 SL大樹号(たいじゅごう)


大きな樹って書いたら「だいじゅ」でしょ。そして「だいじゅ」って言ったら相撲取りじゃね(笑)
しかし、鬼怒川温泉ってこんな遠かったっけ? いや、今日は鬼怒川温泉じゃなくて更に奥の川治温泉ですよ。 今市では降ってなかった雨も、鬼怒川温泉を通過する頃にはザンザン降ってきた。いっとき乾きつつあったパンツも靴もさらにグズグズ。
そして、本日の宿屋に到着した頃は、カメラのフィルターについた水滴を拭う気力もなかった。だから写真もボワンボワン。

でも無事到着できてよかった・・・
夜はバイキングだったけど、栃木自慢の牛肉がコースについてきました。

これを食べる頃にはちょっと人心地ついてたかな。お疲れ様。
to be continued
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電動ならではの山岳100km越えコースですね。古峰神社は行ってみたい場所ですが、やはり粕尾峠に抜けるパターンですかね。足尾には泊まるところ少ないのがちょっと難点でしょうか。
奥田茂雄さん おはようございます。
古峯神社は、良いところですよ〜。神社だけじゃなくてその周りもですかね。
ただ、粕尾峠へ行くのはそれなりに覚悟(ダルさの)が必要です(笑)
古峯神社へは、「基幹林道前日光線」が通じてます。これは林道を6〜7つなぐとなんと足利まで辿ることができます。
プランの検討段階ではそれ使おうかと思いましたが、今回はパスしました(笑)
雨の中、お疲れさまでした。
古峰神社、私も去年、車でしたが参拝してきました。横長の社殿、自由に中に入れるのが珍しい神社でした。北関東から東北にかけて民俗調査をすると、必ず古峰ヶ原講という代参講が組織されていて、村々の信仰を集めています。私は鹿沼方面へちょっと戻って、林道河原小屋三の宿線を日光へ抜けましたが、自転車で走りたくなるようないいコースでした。
古峰ヶ原峠の避難小屋・・・何年か前、御夫婦で泊まっていたら、強盗・奥さんの拉致誘拐事件がおこったところですね。奥さんは無事に救出されたようですが。
パイナップル・・・1994年頃、山形の大朝日岳でスイカを背負わされた埼玉の高校生が熱中症のため、亡くなった事件がありました。翌年、大朝日岳の小屋で、実地検証に訪れた母親、弁護士、警察の一隊と同宿になり、話を聞いた思い出があります。引率教師の責任が追及されて訴えられたようでした。パイナップルを持たせられた後輩君、ご無事でなによりでした。
いずれにしても、つまらない話で申し訳ありません。
shiokameさん おはようございます。
以前コメントでセンチメンタルジャーニーだねとご指摘いただいて、妙にハラ落ちしたものです。
昔の足取りを再確認する旅は、それだけで「倍」楽しめることに改めて気づきました(笑)
古峯神社は、確かに社殿の中に自由に出入りできますね。
今回もそっと入って、あの広い畳のところに座って、終わったらバタバタと倒れたなあと思い出してました(笑)
古峰神社の講中についても、参道の入り口に林立する記念碑の多さに人気あるんだなと驚きました。
記念碑を見るに各地に講中があったというのもびっくりで、人々の信仰の対象は富士山だけじゃ無いんだねと認識です。
パイナップルについては良い思い出となっていますが、一歩間違えると大変なことになるんですね。
山に果物(まるごと)持って行くのは禁忌なのかもしれません。
こんにちは♪
足尾は良いですね~。
間藤駅も久しぶりで楽しく拝読させていただきました。
食事処は評判良いですよね。(他に無いからかもしれませんが・・・)
足尾の次の駅「通洞」の駅前に人気の揚げ物屋さんがあります。
コロッケやハムカツなど、遠くから買いに来て、大人買いしている人もいます。
間藤駅から坂を上ると「渡良瀬川源流」となるので、赤城~桐生~足利~渡良瀬遊水地で、
渡良瀬川制覇も楽しいかもしれません。
途中にある「昭和のレストラン」(うどん・そば・ハムチーズサンド・瓶コーラetc・・・)があって超人気ですが、そこで食を楽しむのも良いかもです。
梅雨が明けたら訪れてみたいと考えてます。
♪ のんびり親父 ♪さん こんばんは。
今回はちょっと盛り沢山過ぎでしたが、足尾とわ鐵に絞って今度は行きたいと思います。
学生時代は足尾銅山の構内見学もしたので、また再び尋ねたいし、渡良瀬川の源流にも行きたいです。
粕尾峠を越えるのはダルいので、わ鐵を使って輪行して足尾に行ってそこから戻ってくれば、グルメも含めて楽しめそうです。
これから梅雨というのがちょっと悩みますね(笑)